全国保証について解説します。このブログでは、全国保証の概要、ビジネスモデル、業績、営業利益率、財務、そして株価についてお話しします。最終的な結論としては、この銘柄は様子見といった内容になります。
まずは全国保証についてあまり知らない方のために、事業内容から説明いたします。全国保証が行っているのは信用保証業務であり、ローンを組む人から手数料をもらって連帯保証を引き受ける事業です。連帯保証とは、住宅ローンを借りた人が返せなくなった時に肩代わりをすることです。
目次全国保証の概要
まずは全国保証についてあまり知らない方のために、事業内容から説明いたします。全国保証が行っているのは信用保証業務であり、ローンを組む人から手数料をもらって連帯保証を引き受ける事業です。連帯保証とは、住宅ローンを借りた人が返せなくなった時に肩代わりをすることです。ドラマなどでよく見かけるシーンですが、実際の業務としては非常に大事な役割を果たしています。こういった保証会社が選ばれる理由は大きく分けて3つあります。
1つ目は、保証人を友人などの個人に頼まなくていいということです。連帯保証人になることには心理的な負担があり、人に頼みにくいものです。例えば、友人に連帯保証人を頼むのは気が引けるでしょう。しかし、全国保証にお願いすれば、誰とも気まずい関係になることなくローンを組むことができます。
2つ目は、金融機関からの信用が上がるため、契約がスムーズに進行する点です。金融機関からすると、連帯保証人が謎に包まれた友人よりも、保証会社の方が確実に返済してくれるという安心感があります。そのため、ローン契約は特に制限なくスムーズに行うことができます。
3つ目は、代位弁済という仕組みです。自分が返済できなくなった場合でも、この保証会社が一旦全額金融機関に返済してくれます。返済先が金融機関から保証会社に移りますが、金額は大きくなります。
ビジネスモデルについて
全国保証のビジネスモデルの特徴として、景気敏感であること、ストックビジネスであること、そして利益率が非常に高いことが挙げられます。
1つ目の特徴である景気敏感については、不況時になると住宅ローンを組む人が減り、会社が倒産したりリストラされたりして返済できなくなる人が増えるため、保証会社の負担が大きくなります。
2つ目の特徴であるストックビジネスについては、保証料が毎月のローンの金額に上乗せされるため、毎月収益が発生します。例えば、35年ローンを組むと、その間毎月売上が計上されるので、非常に安定したビジネスモデルと言えます。
3つ目の特徴である高利益率については、全国保証の営業利益率は日本一であり、76.4%という驚異的な数字を誇っています。これは他の企業が10%以下であることが多い中で、非常に高い数字です。
業績について
全国保証の業績について過去4年間の実績と今期の予想を見てみましょう。売上高は右肩上がりで増加しています。この増加の理由としては、保証債務残高、つまり連帯保証を請け負っている金額の総額が増加しているためです。
営業利益と純利益も右肩上がりで、非常に綺麗な成長を見せています。営業外でかかってくる大きな費用も特にはなく、安定した収益構造を持っています。
営業利益率について
全国保証の収益性に注目すると、営業利益率の高さが際立ちます。日本一の営業利益率76.4%というのは、一般的な企業が10%以下であることと比較すると驚異的です。
この高い利益率の背後には、強気の値段設定があると考えられます。強気の値段設定が可能な理由は、競争優位性や参入障壁の高さにあると言えるでしょう。競争優位性がある場合、高い値段を払ってでも選ばれる価値があります。参入障壁が高い業界では、ライバルが少ないため高い値段設定を維持できます。全国保証の場合、信用保証専門の上場企業が他にないため、実質的に参入障壁が高い業界と言えます。
財務について
全国保証の財務状況を見てみましょう。まず、倒産リスクを図るための自己資本比率についてですが、40%以上が合格ラインとされている中、全国保証は38.9%と若干下回っています。これは借金が多いというわけではなく、長期前受収益が大きな負債として計上されているためです。
長期前受収益とは、ローンを組んだ人から先払いで受け取っている保証金のことです。全国保証が倒産した場合、この先払いで受け取った分を返さなければならないため、負債として計上されます。そのため、実際の自己資本比率は特に問題ない水準と考えられます。
利益剰余金については、総資産の30%以上あれば優秀と言われていますが、全国保証は総資産に対して約36%と非常に良好です。また、有利子負債倍率も若干増加していますが、財務的には特に問題ありません。
株価について
最後に株価について見ていきましょう。5月8日の終値は3195円で、PRは8.6、PBRは1.52倍、配当利回りは3.47%となっています。
日足のチャートを見ると、コロナショックからの回復が遅れていることがわかります。週足で見ても、移動平均線がすべて下がっているため、積極的に買いに行くのは難しい状況です。しかし、月足のチャートを見ると、現在の株価が非常に割安であることがわかります。
EPS(1株当たり利益)との乖離も大きいため、割安感は強いと言えます。ただし、業績や財務面は悪くないものの、株価の動きが鈍いため、様子見が推奨されます。
関連する質問と回答
1. 全国保証のビジネスモデルの特徴は何ですか?
全国保証のビジネスモデルの特徴として、景気敏感であること、ストックビジネスであること、そして利益率が非常に高いことが挙げられます。不況時には住宅ローンを組む人が減り、返済が難しくなるため、保証会社の負担が大きくなります。一方、保証料が毎月のローンに上乗せされるため、安定した収益が期待できます。また、営業利益率が非常に高く、競争優位性や参入障壁の高さがその背後にあります。
2. 全国保証の業績はどのように変化していますか?
全国保証の業績は過去4年間で右肩上がりに成長しています。売上高、営業利益、純利益ともに増加しており、非常に安定した収益構造を持っています。これは保証債務残高の増加が主な要因です。営業外でかかってくる大きな費用もなく、安定した業績が続いています。
3. 全国保証の財務状況はどうですか?
全国保証の財務状況は良好です。自己資本比率が若干40%を下回っていますが、これは長期前受収益が大きな負債として計上されているためです。利益剰余金や有利子負債倍率も健全な水準にあります。総合的に見ると、財務面で特に問題はありません。
4. 全国保証の配当政策はどうなっていますか?
全国保証は配当政策に非常に積極的です。7期連続で増配しており、株主還元を重視しています。今期の予想配当性向は30%と健全な水準にあり、減配のリスクも低いです。配当利回りも高く、投資家にとって魅力的な銘柄と言えます。
5. 現在の全国保証の株価はどう評価されていますか?
現在の全国保証の株価は割安と評価されています。PRやPBRが低く、配当利回りも高いため、投資家にとって魅力的です。しかし、コロナショックからの回復が遅れており、積極的に買いに行くのは難しい状況です。バリュー株投資の観点からは少しずつ買い増しするのはありかもしれませんが、今は様子見が推奨されます。