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三菱商事が増配発表!【2024年決算解説】

三菱商事が決算を発表しましたので、その発表内容について詳しくお話しします。今回のブログのトピックはこちらです。企業の概要、決算の内容、配当金について、株価について、そして結論としては様子見推奨といった内容になっています。まずは企業の概要から見ていきましょう。

企業の概要

三菱商事は日本で最大規模を誇る総合商社です。事業に関しては幅広く手がけており、天然ガス、総合素材、石油化学、金属資源など、いわゆる資源事業のセグメント比率が高いのが特徴です。そのため、三菱商事の業績はこれらの資源価格に大きく影響されます。また、株価に関してはPER、PBRが低く、高配当であることから個人投資家に人気があります。

決算の内容

本日5月8日に三菱商事の本決算が発表されました。結論から言うと、売上高は前年比-8.2%、経常利益-31.8%、純利益が-9.4%の減少となりました。思ったよりひどくないという印象ですが、来期の業績に関しては予想が困難で、配当金以外は非開示とされています。

セグメント別の業績

各事業の経常利益の比較を見てみましょう。資源事業に関しては軒並み減益となっており、特に石油化学はマイナスになっています。原油価格の暴落が原因です。また、自動車モビリティ事業も80%の減益となっており、自動車関連事業はロックダウンにより需要が蒸発してしまったことが原因です。その影響は自動車の素材分野にも及んでいます。

今後のリスク

三菱商事の社長は「需要と供給のダブルショックにより、経済の回復には長期戦を覚悟する必要がある」と述べています。家に閉じこもる人々、稼働を休止する工場、そして回復の目処が立っていないという状況が続いています。自動車事業に関しては、タイやインドネシアに工場が集中しているため、これらの国の経済状況に大きく左右されます。また、資源事業に関しては原油価格が大きく業績に影響を与えると発表されています。原油が1ドル変動すると年間の純利益が25億円増減するため、非常に原油価格に敏感な性質があります。

配当金について

三菱商事は無事に増配しました。中期経営戦略2021では累進配当を掲げています。累進配当とは減配せず、なるべく増配していくという表明です。そのため、配当金は毎年増配しており、2020年の配当金は2円増配の134円となっています。ただし、累進配当は2021年までしか発表されていないため、その先はどうなるか不明です。また、中期経営戦略には配当性向を35%の水準にすることが書かれています。134円の配当金で35%の配当性向を維持するためには、EPSが382円以上になる必要がありますが、2019年度のEPSは348円、2020年度はさらに下がることが予想されるため、この配当性向を維持できないのはほぼ確実です。つまり、増配がストップする懸念が出てきます。

株価について

5月8日の終値は2304.5円です。PERは業績非開示により表示されていませんが、PBRは0.66倍、配当利回りは5.72%です。本日14時の決算発表後、株価は100円ほど上がりました。これは増配が好感されたためだと考えられます。三井物産は配当金据え置き、丸紅は減配しましたが、伊藤忠商事は増配しており、住友商事は減配しましたが株価は上昇しました。

株価のトレンド

週足で見ると株価は相当下がっており、2017年の水準まで落ち込んでいます。移動平均線を見ても全ての線が右肩下がりとなっており、下落トレンドを形成しています。回復の兆しが見えないため、特別な思い入れがない限りは様子見を推奨します。しかし、1100円台で底を作っているようにも見えるため、増配が発表されたことを考慮すると打診買いのタイミングとしては悪くないかもしれません。

まとめ

決算内容をまとめると、原油価格や自動車事業が大ダメージを受けており、回復の兆しが見えていないため長期戦を覚悟する必要があります。配当金に関しては累進配当を継続していますが、配当性向は中期経営戦略の水準を大きく上回る可能性が高いです。株価に関しては不透明な要素が多いため、様子見を推奨しますが、打診買いのタイミングとしてはありといった感じです。

今後もこのような投資情報を配信していきますので、よろしければブログのフォローと高評価をお願いします。最後までお読みいただきありがとうございました。

関連する質問と回答

三菱商事の今後の業績見通しはどうですか?

三菱商事の今後の業績見通しは不透明です。特に原油価格や自動車事業の需要が回復するかどうかが鍵となります。社長も長期戦を覚悟する必要があると述べており、慎重な姿勢が求められます。

三菱商事の配当金は今後も増配されますか?

累進配当を掲げているため、基本的には増配を目指していますが、配当性向が高くなっている現状では増配がストップする可能性もあります。具体的には2021年以降の配当金については未定です。

三菱商事の株価は今後どうなると思いますか?

現状では不透明な要素が多く、下落トレンドが続いています。ただし、原油価格の回復やロックダウンの解除など、ポジティブな要素が出てくれば株価も回復する可能性があります。

三菱商事の他の総合商社と比較してどうですか?

決算発表後に株価が上がったことから、増配が好感されたと考えられます。他の総合商社と比較しても、高配当である点や事業の多様性から、安定した投資先として評価されています。

三菱商事に投資する際のリスクは何ですか?

主なリスクは資源価格の変動と、それに伴う業績の不安定さです。特に原油価格が大きく業績に影響を与えるため、原油市場の動向には注意が必要です。また、タイやインドネシアなど海外市場の経済状況にも大きく左右されます。