電子マンガ業界の分析
今回は電子マンガ業界について深堀りしていきます。まず電子書籍業界の市場規模について、次にビジネスモデルについてお話します。最後に、今上場しているいろんな電子マンガ関連銘柄の分析を行います。個人的な結論としては、リンクユが有望だと感じました。それでは始めましょう。
目次電子書籍業界の市場規模
電子書籍市場は、水色の「電子雑誌」と濃い青の「電子書籍」に分かれています。電子雑誌の成長はそれほど見込めませんが、電子書籍は2020年以降、年5%ほどの成長が予想されています。電子書籍の中身は、漫画、ビジネス書、小説など多岐にわたりますが、現在は8割方が漫画です。逆に紙媒体の漫画は徐々に減少しています。
2018年のデータでは、実際の市場規模はもっと大きくなっています。その火付け役はコロナウイルスによる巣ごもり需要です。外出を控えたり、人が触ったものを避ける心理から、スマホやタブレットで漫画を読む人が増えています。市場規模は今後も大きくなり続けると考えられ、電子書籍の次の段階が見えていない間は衰退しないでしょう。環境問題への配慮もあり、紙媒体への回帰も考えにくいです。
ビジネスモデルの概要
漫画家が作った作品が読者に届くまでには、複数の会社が関わります。まず出版社(例:集英社、小学館)、次に電子書店(例:楽天ブック、Amazon Kindle、その他の漫画アプリ)です。さらに、取次会社が絡むこともあります。取次会社は出版社からの漫画データを電子書店に適した形式に修正する会社です。
電子書店が自社で電子化技術を持っていれば取次会社は不要ですが、LINEマンガやdブックのように電子書籍を始めたばかりの会社は取次会社を利用します。取次会社の最大手はメディアドゥです。
電子書店の収益モデル
電子書店の収益源は以下の4つです:
1. 完売(まるごと購入)
読者が1冊まるごと購入するタイプです。
2. 部分販売
今の漫画アプリはメディアタイプになっており、無料で読める作品が毎週更新されます。次の話をすぐに読みたい人は部分購入します。
3. サブスクリプション(月額制)
月額料金で漫画が読み放題になるサービスです。例:AmazonのKindle Unlimited。日本で上場している電子マンガ専門の会社は少ないです。
4. 広告収入
アプリ内の広告をクリックや表示されることで収入が発生します。漫画アプリの広告収益市場は堅調に推移しています。
上場している電子マンガ関連企業の分析
1. イーブックイニシアティブジャパン
最大の特徴はYahooの子会社であることです。Yahooやソフトバンクと連携して集客しやすいです。取扱作品数は業界トップレベルですが、広告費やキャンペーンに多くの費用をかけているため、営業利益率は低めです。今後のビジョンが明確でなく、成長が鈍化しています。
2. Ameba(サイバーエージェント)
「マンガバンク」を提供している小規模な会社です。集英社などと取引を強化し、人気漫画を毎週無料で提供することで集客を図っています。売り上げは急増しており、海外展開も積極的です。ただし、株価は非常に割高です。
3. GREE
「マンガOuk」を運営。オリジナルマンガに強みを持ち、サブスクシステムもありますが、ゲーム事業が足を引っ張っているようです。売り上げの伸びもイマイチで、今後の展望は不透明です。
4. パピレス
日本初の電子書籍配信サイト「パピレス」と電子書籍レンタル「レンタ」を運営。取次事業や海外展開も行い、次世代コンテンツ「絵ノベル」も配信しています。他社との差別化ができている点が魅力です。
5. リンクユ
「マンガワン」のプラットフォームを開発し、サブスクで提供しています。レベニューシェア契約を結び、収益を分け合うビジネスモデルが特徴です。新規事業にも積極的で、リスクを分散しています。技術力が高く、他業界への展開も可能です。
6. インフォコム
「めちゃコミック」を運営。規模が大きく、時価総額は2000億円近く。他の企業と比べて売り上げは首位で、ヘルスケア事業も行っています。海外展開も積極的で、安定した企業です。
まとめ
電子書籍業界の市場規模は今後も拡大が予想されますが、競争が激化しています。価格や取り扱い商品が似ているため、差別化が難しいです。競争優位性がない企業は今後取り残される可能性が高いです。電子マンガ関連銘柄の中で、リンクユは特に有望です。プラットフォーム開発の技術力や新規事業への積極的な展開が評価できます。
関連する質問と回答
1. 電子書籍市場の成長要因は何ですか?
コロナウイルスによる巣ごもり需要が大きな要因です。外出を控えたり、人が触ったものを避ける心理から、スマホやタブレットで漫画を読む人が増えています。
2. 電子書店の収益源は何ですか?
電子書店の収益源は、完売(まるごと購入)、部分販売、サブスクリプション(月額制)、広告収入の4つです。
3. リンクユの強みは何ですか?
リンクユはプラットフォーム開発の技術力が高く、レベニューシェア契約で収益を分け合うビジネスモデルが特徴です。新規事業への積極的な展開も強みです。
4. 電子マンガ業界の競争環境はどうですか?
電子マンガ業界は競争が激化しており、価格や取り扱い商品が似ているため、差別化が難しいです。競争優位性がない企業は今後取り残される可能性が高いです。
5. 電子書籍の次の段階は何ですか?
現時点では、電子書籍の次の段階は見えていないため、しばらくは成長が続くと考えられます。環境問題への配慮もあり、紙媒体への回帰も考えにくいです。