株に関するお得な情報をお届けします。今回の内容は、次の3つの項目に分けてお話しします:高ROE=買いは間違い、業績上振れする企業の特徴、自社株買いが発表されやすいタイミングです。これらの情報は、株式ストラテジストの入れ慎吾さんが書かれた「本音の株式投資」を元にしています。この本では、財務諸表やローソク足の見方など一般的な内容ではなく、データに基づいて株式市場の法則や傾向を導き出して紹介しています。では、早速始めましょう。
目次高ROE=買いは間違い
まずはROEについて説明します。ROE(自己資本利益率)は、自己資本に対してどれだけ利益を上げているかを示す指標です。例えば、自己資本が100億円の企業がその年に50億円の利益を出していたら、ROEは50%となります。この数値が高ければ高いほど、企業は効率的に利益を上げていることになります。
日本では、2014年からGPIFがこのROEを使った指数を運用し始めたことから、ROEが注目されるようになりました。海外投資家もこのROEを最も重要な指標のひとつとして見ています。そのため、個人投資家はROEが高い銘柄を見つけると、それを「買い」と捉えがちです。しかし、著者の入れ慎吾さんはこれが間違いだと指摘しています。
その理由を検証するために、TOPIX採用銘柄を対象にして、今期予想ROEが高い順に並べ、上位から100銘柄ずつ5グループに分けて投資し、翌年の3月末まで保有するという方法を15年間繰り返しました。その結果、なんと一番リターンが大きかったのは、ROEの順位が最も低かったEグループであり、逆にROEが一番高いAグループは一番リターンが悪かったのです。この意外な結果は、アメリカでも同様に報告されています。
この結果には3つの理由があります。まず、高ROEはすでに株価に織り込まれているため、買った時点で割高でリターンが見込めなかったということです。次に、低PBRや低PERの銘柄が好まれてきたこと。最後に、高ROEの企業がそれを維持するのが困難であるということです。
高ROEの企業は時間とともにROEが低下しやすいという傾向がありますが、逆に低ROEの企業はROEが改善するという傾向があります。これを「平均回帰性」といいます。高ROEのビジネスには新規参入が増え、価格競争が激化し、利益率が下がるためROEが低下します。一方、儲からないビジネスは撤退が相次ぎ、残留した企業の利益率が高まるためROEが改善するのです。
業績上振れする企業の特徴
次に、業績上振れする企業の特徴についてお話しします。ここで言う業績上振れとは、期末(本決算)の実績が当初の業績予想を上振れすることを指します。業績が上振れすると株価が上がる傾向がありますが、特にコンセンサスを上回ると上がりやすいです。
業績が上振れする銘柄の特徴として、著者の入れ慎吾さんは中間決算で上方修正していることを挙げています。トピックスの銘柄を対象に、2005年から2016年までの中間決算と本決算の関連性を確認したところ、中間決算で上方修正した銘柄の約8割が本決算で業績が上振れしていることが分かりました。また、中間決算で下方修正した銘柄の約57%が本決算で業績が下振れしていました。
つまり、中間決算で上方修正した銘柄は本決算でも業績が良くなりやすく、下方修正した銘柄はさらに悪化する傾向があるのです。では、中間決算で上方修正しやすい銘柄をどうやって見つけるかというと、カブタンの銘柄探検というタブをクリックし、第1四半期中間器具上振れ有望銘柄もしくは通期上振れ有望銘柄を選択することです。
第1四半期時点で進捗率が高い銘柄は、業績予想の上方修正が行われる可能性が高くなります。ただし、進捗率が高い理由が一過性のものでないか、経常利益で比較しているため本業以外の収入も含まれる点に注意が必要です。本業の軌道に乗っているかどうかを確認するために、営業利益も確認することが重要です。
自社株買いが発表されやすいタイミング
最後に、自社株買いが発表されやすいタイミングについてお話しします。自社株買いとは、企業が自社の株を買い戻すことです。これにより市場に出回る株の数が減り、一株当たりの価値が上がるため株価が上がりやすくなります。そのため、大規模な自社株買いが発表されると、ほとんどの場合株価は上がります。
自社株買いの発表には季節性があります。最も発表されやすい時期は4月から6月です。その理由は、東証一部の上場企業の7割以上が3月決算であり、本決算に併せて自社株買いを発表することが多いからです。自社株買いは無制限にできるわけではなく、企業が株主に対して交付する分配可能額が上限になります。本決算で配当金の金額が決まった後、残った分配可能額を自社株買いの金額とするため、本決算と同じ時期に発表されやすいのです。
次に多いのは1月から3月です。その年の業績の着地点と財務面の余裕が見えてくるため、自社株買いの計画を立てやすくなります。逆に、自社株買いが発表されにくいのは見通しが立てにくい1クオーターの決算時です。
自社株買いは株価を大きく上げる要因の一つですが、発表されたからといって必ず実行されるわけではありません。自社株買いを発表しても実行しないこともあり、これには法的な罰則はありません。過去のIRを見て自社株買いのペースなどを把握しておくことが重要です。
関連する質問と回答
ROEが高い企業は本当に買いなのですか?
ROEが高い企業が必ずしも良い買い物になるわけではありません。高ROEはすでに株価に織り込まれていることが多く、割高である可能性があります。また、高ROEを維持するのは難しく、時間とともに低下しやすい傾向があります。
業績上振れする銘柄の特徴は何ですか?
業績上振れする銘柄の特徴として、中間決算で上方修正していることが挙げられます。中間決算で上方修正した銘柄の約8割が本決算で業績が上振れしていることが確認されています。
自社株買いが発表されやすいタイミングはいつですか?
自社株買いが最も発表されやすい時期は4月から6月です。これは、東証一部の上場企業の7割以上が3月決算であり、本決算に併せて自社株買いを発表することが多いためです。
自社株買いが発表されても必ず実行されるのですか?
自社株買いが発表されても必ず実行されるわけではありません。自社株買いを発表しても実行しないこともあり、これには法的な罰則はありません。
ROEが向上している銘柄をどうやって見つけるのですか?
ROEが向上している銘柄を見つけるためには、カブタンの銘柄探検というタブを使用し、経営効率化が続く銘柄リストを確認することが有効です。このリストにはROEが連続で向上している銘柄のランキングが表示されます。